2009年10月22日木曜日

連携

先週1週間はPEの活動活性化にむけて、具体的にはヘルスセンターとの連携を強化すべく活動した週であった。

月曜日には、キテンゲラのユースとのミーティングをスムーズに進めるため、会場の確保、ミーティングへの医療従事者の参加などのヘルスセンターからの協力について話し合われた。

またこの日の晩、先週であった韓国人の女性と一緒に晩御飯を取った。
韓国の仏教系団体で働いている彼女、私よりも長いことケニアにおり英語・スワヒリ語共に私よりも上で、それらを使いこなしてここに溶け込もうとしているのが分かる。
が、ムズング(白人つまり非黒人)がここにいること、そんな彼女がスワヒリ語を使おうとする姿に、何となく不自然な空気を感じてしまう。
多分私の姿も、現地の人には同じように映っているのだろうか。


火曜日はPEの活動とは関係はないのだが、この日もミーティングがあった。
毎年12月1日はWorld AIDS Day(世界エイズ・デー?) になっているのだが、この日にカジャドゥ県内でイベントを開催すべく、その準備のミーティングであった。
県内でHIV/AIDSに関わる団体(ステークホルダー)一同が市内に集まって開催されたのだが、APHIAⅡの直接のスタッフの他、ADEOなどのAPHIAⅡの下で活動している団体、APHIAⅡとは直接は関係のないがHIV/AIDSに関わるその他の団体などが集まる。
まず県内のどの場所でイベントを開催するか、という段階から話し合うのには驚かされる。
以前にもブログに書いたが、都市部よりも地方での感染拡大が憂慮されており、そんな流れを受けて、今年は県内でも比較的田舎のほうの町でイベントが開催される方向に。
外から来た私にはどんなところなのか分からないが、話を聞いているとかなりの田舎な気がする。
World AIDS Dayに私はカジャドゥにいないので参加できないので残念なのだが、カジャドゥに来た後すぐにマイリティサであったイベント並みの大きなものが開催されるのだろう。

なお、このミーティングには、以前マイリティサで出合ったことのあるアメリカ人の白人女性も参加していた。
実はその後にもカジャドゥ市内やナマンガで見かけたことがあるのだが、今回初めて話をする。
アメリカのピースコ(Peace Corp、平和部隊かな? 日本の青年海外協力隊のアメリカ版?) に所属しマイリティサで活動しているという。
多分50歳くらいで、資格だけだが看護師だという。
いかにもアメリカ人といった感じの彼女、アメリカンジョークを飛ばし、ミーティング前には、この会議は英語で進めるのかスワヒリ語で進めるのかと質問している。
かなり聞き取りやすい英語を話してくれるのでリスリングに疲れることはないのだが、そのハイテンションっぷりには疲れる。
ミーティングのあと、アフィアⅡのスタッフが彼女の真似をしており、出しゃばり過ぎると周りからはああいう風に受け止められるのだと反省されられる。
彼女などは英語が不自由なく使える分、その振る舞いで現地との距離を作ってしまっておりもったいないと感じさせられる。
そして、努力次第で何とかなる英語で周りとの距離を作ってしまっている自分ももったいないことをしているのだろう。
他のアイセックの研修生と違い、ケニア人以外と付き合う機会の少ない私、外国人と接するのもいい勉強になると感じる。

ミーティングのあと、近くの県立病院までHIVの担当者に会いに行く。
PEの活動の支援を相談しに行くもので、以前にも何度も彼女を訪れているのだが、毎回彼女は不在。
さすがに今回、ケンはアポを取っているのかと思いきや、聞いてみるとアポを取っているわけではないという。
結局今回も外出のため彼女には会えず、毎度だがケンの効率の悪い動き方にあきれさせられる。
当初の目的は果たせず、配布用のコンドームを受け取り病院を後にする。

さらに病院のあと、マジェンゴ・スラムでPEのところへ寄る(前回の投稿参照。ラクダ君の話)。


水曜日、午前中オフィスで仕事をした後、昼からマジェンゴへ。
主な目的はPEに出会って話を聞くこと。
もうひとつは、飲み屋や宿泊施設を回り、売春が行われていそうなところを新しく見つけること。
町外れに宿泊所を併設する飲み屋を発見。
宿泊所内には保健省の名前の入った立派なコンドーム・ディスペンサーがありテンションがあがる。
さらに店員に聞くとしばらくコンドームが補給されていないとのこと。
要検討ですな。


木曜日、ナマンガへ。
APHIAⅡの中でもHIVのHome based Careを担当している団体があり、その団体のスタッフと一緒に行く。
彼女自身、その団体の仕事があったのだが、それに加え、彼女にはPEとのミーティングの中でその団体が採用している活動手法を紹介してもらったり、また私たちの活動を彼女に見てもらい助言をもらったりする。

彼女の話を聞いたり、実際に彼女の団体のCHW(Community Health Worker、ADEOでいうところのPE的な存在)の活動を見させてもらったりすると、やっぱりADEOよりも活動的なのが分かる。
予防・啓発分野を担当しているADEOと違い、すでに感染した特定の人を対象とする活動のため、CHWも活動しやすいということもあるだろう。
予防という不特定多数が対象の活動は、やはりつかみどころがないのだろう。
だが、それ以上に我々に改善の余地が多く残されていることにも思い知らされる。

また、ここナマンガでもヘルス・センター(小規模の病院に保健所の機能を加えたような施設)へ行き、担当者と話をする。
PEとヘルス・センターの連携促進のためだが、少なくとも今までは全然連携が取れていなかったことが改めて明らかになる。
前出の団体とは連携が取れているので、問題がヘルス・センターではなく我々にあるのが分かる。

また、金曜日にもケンはキテンゲラで同様の時間を過ごす。
ただ、私は体調を壊し、この日は休ませてもらったので詳細は分からず。

いずれにせよ、この週はヘルス・センターとの連携をスローガンに活動した週であった。
PEの活動の低さの根底にはモティベーションやインセンティブの欠如があり、この週の活動が成功裏に終わったとしても、現状を大きく変化させることはできないかもしれないが、PEの活動の環境を改善できるという点では大きな意味のある活動であっただろう。